阿寒湖2007 3日目(雄阿寒岳と大きなアメマス)
静寂をたもった湖面を雄阿寒岳の山裾からゆっくりと昇る朝の日差しがキラキラと照らしだすと、水面に真っ直ぐに伸び落ちるフライラインの着水による波紋が
釣れない予感をどこからか連れてくる。
ほんとうは、もう少し風が吹いてくれたら、僕の気配も気付かれずに済むのに…
そう、ピーカンでベタ凪の朝は良い思いをさせてくれた事がない…
いつかは奇跡が起こってくれないものか、と願いながらも新鮮な朝日を浴びながら
湖面にただ、佇んでいるだけでも気持ちが穏かになっていく。

スキー場でピステンプーリーの助手席に乗せてもらい荷台にROSSIGNOLの板を括り付け
新雪が降り積もった夜明け前のゲレンデを登ると向かいの山の陰から
コントラストが鮮やかな朝日が燦燦と山々を照らしだした・・・・
そんな昔の記憶が、今日の朝日を浴びていると鮮明に蘇ってくる
夕日の雄大さや月光の神秘的な光も好きだけど、短い時間でしか味わえない
朝日には全ての生物の生命の鼓動を躍動させる不思議な力があると思う。

阿寒湖では予測の付かないドラマは突然おとずれる
黒い悪魔のフライを思いっきり遠投して、20カウント
タイプ2のシンキングラインはゆっくりと沈みながらも、湖底に貼り付いたのを
見計らってスローなロングストロークでリトリーブを開始して直後の出来事だった
「グングンッ!」とアメマスの確かなアタリと共にロッドを立てた
「重い!」 それがこのアメマスの第一印象
あまりにもトルクフルな首振りがロッドを伝わって、僕の心臓まで揺れ動かすようだ。
近くまで寄せた時に水面に出た巨大な尾鰭が、朝日の逆光で黒ずんで見える
激しく抵抗する、この大きなアメマスはそう簡単にネットに納まってはくれなかった

2度、3度とランディングに失敗したが、気持ちは落ち着いていた
何時もなら、大きなサカナをかけるとついつい慌ててしまうが柔らかなな朝日に
照らされてる僕の時間はユックリと流れ、大きなアメマスとのやり取りを楽しむ事ができた。

どんな状況でも、何が起こるか分からない、阿寒湖のドラマはとてもスリリングだ
・・・・・・・・・・阿寒湖2007 4日目へとつづく!