ゴォーゴォーと平常ではない騒々しい窓の外の音に胸騒ぎを覚え目が覚めた
ホテルの部屋から廊下に出て、窓から外を見ると街路樹が弓なりに曲がり
雨が真横に降り窓をバタバタと叩きまくっている光景であった
24時間も降り続いた豪雨は屈斜路湖にそそぐ河川を埋め尽くしていることであろう
僕達はホテルのロビーでウエーダーを履いてロッドを繋ぎ支度を済ませて
昨日のポイントへと車を走らせた

途中、阿寒川を車の窓から見たが信じられない程の増水であった
昨日のポイントに到着したが、屈斜路湖にそそぐこの河川は濁流と化していた
きっとインレットは大量の泥が入り込み釣りにはならないと判断した僕らは
この場所での釣りを諦めるしかなかった
比較的小河川ならさほど影響は無いだろうと思い林道を走り屈斜路湖の
北側のポイントを目指し林道に入ったが、そこには強風で倒れた何本もの
倒木が僕らの行く手を阻んでいた
このくらいの障害は乗り越えてやる!
北側のインレットに行けば何とかなる、
東京から遥々来たterryさんにニジマスを釣らせるんだ
僕達は協力し合い倒木を押しのけて道を切り開いた。
幾つもの難所をすり抜けて、僕らは湖の北側に到着した

小さな川は濁流となり湖に濁りを運んでいたが、ここなら釣りになりそうだ
Yunさんがカメムシフライでニジマスを釣り上げた
昨日、釣りを断念したabuさんのルアーにもニジマスがヒット
次はterryさんが釣る番だ

僕はカメムシフライを浮かべていたポイントを彼に譲った
その直前に、1度だけ僕のカメムシには見えないだろうフライをモゾッと
ニジマスが摘んだようなきがした

岸に上がりロッドを置いた瞬間に彼のロッドが曲がった
釣れてる! やった! 僕は急いで駆け寄りネットを差し出した
ハラハラドキドキ物でやっとの思いでterryさんのニジマスをネットに納めた

なんとも嬉しそうな彼の笑顔は今回の過酷で厳しくフライフィッシングの常識を超えた
状況を克服し、憧れの北海道での初めてのニジマスを手に出来た満足感で輝いていた

もっと釣りを続けたかったが、日常生活の傍らで釣りをしている僕達には区切りをつける
時間は必ず訪れる・・・でも、この時間が必ずくるから釣りを楽しめるのだろうか?
僕達の冒険はここで静かに幕を降ろした
今でも目を閉じると、屈斜路湖での2日間のシーンの1コマづつが浮かんできて
今でもニヤケテしまうのは、なんでだろう。
flymagic field photo report